好きとは言えなくて…
私の溜め息に気付いたのか佐倉君はまたニッコリと微笑んだ。


なに? 私なんかした?


「やっぱりやめーた。男の恋ばななんて聞きたくなくない?」


確かに気になる人の恋ばなは聞きたくないかも。

おどけたように言う佐倉君をクスクスと笑ってしまう。


「笑うのはひどくないか?」


そんなことを言いながら怒るでもなくて笑いながら佐倉君は言った。


「そういう佐倉君だって笑ってんじゃん。
冷めちゃうから早く食べちゃお?」


私達は他愛もない話をしながら残りを食べた。

他愛もない話しかしてないのに物凄く楽しかった。それと同時に昔からこうやって話せてたら楽しかったのかなって少し後悔した。



「そういえばこれやる。今日のお礼」


佐倉君は私が食べ終わったのを見計らって袋を私に手渡した。


「えっ? 私お礼されるようなことしてないよ?」


私がやったことってただ佐倉君に付き合っただけ。
それにお礼をしなきゃいけないのは私の方だ。


「折角だから貰っとけって!」


佐倉君は私に押し付けるように渡してきた。


もう。強引だな。
あれ? この袋って…





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