好きとは言えなくて…
「いや。由衣って本当に真面目だなって思って。
普通教科書なんて置いとくことない?」


菜美はさも当然という感じで聞いてくる。


「まぁ、ほとんどの人はそうだよね」


「そうそう。だから筆記具だけ持ち帰ればいいんだって」



菜美はそう言うと私の手を引っ張った。


「ちょっと。菜美!?」


突然のことに驚きを隠せない。


「由衣を待たせてるといつになるかわかんないからね」


「菜美のばか」


小さな声で呟きながらも学生かばんを手に取った。


その時。私の名前を呼ぶ声がした。




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