好きとは言えなくて…

「何をにやついてるのかな?」


ポカッと頭を軽く叩かれた。
叩かれた方を見るとそこには菜美がいた。


なんで菜美がここにいるの? 確かに帰る方面が同じだけど菜美は特急が止まる駅で降りる為、朝は特急に乗ってるはず。
今私が乗ってる電車は急行だからいつもなら同じ電車になることはない。


「おはよ。
今日はちょっと遅れちゃってこの電車なんだよね」


私が考えてる事がわかったのか菜美は後頭部を左手で掻き照れくさそうに言った。


「うん。おはよう。
菜美が遅れるとか珍しい」

「あたしにも色々あるの!
で、なんでさっきニヤニヤしてたの?」


菜美が慌てながら言うなんて珍しい。菜美こそ何かあったな。
それにしてもやっぱり菜美に見られてたか。

私は菜美に見られていたことが恥ずかしく溜め息が自然と出てしまう。菜美から『あまり溜め息つくと幸せ逃げるよ』って言われたけど無視した。


「今日の朝佐倉君に送ったメールの返事が今さっき来たんだけどその内容が嬉しかっただけだよ」


菜美には隠し事は出来ないから素直にさっきあったことを話した。


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