好きとは言えなくて…
「佐倉君なんだって?」


佐倉君にメールを送り携帯を握りしめてぼーっとしてたら菜美が私の肩を叩いた。


「菜美。私はバカだよね?
こんなメールを送るのだから」


そう呟きながら菜美にさっき私が佐倉君に送ったメールを見せた。

「由衣。バカという前によくこんなメールを送る勇気あったね」


菜美は私のメールを読んで溜め息混じりに呟いた。

「だってなんでも相談してってきたから…つい」

さっきは、私の気持ちに気付けばいいのにって無謀なことを考えてたら送っていた。
送った後にあれで気づく人なんていないんだって思った。



「ついって。普通はこれじゃあ気付かないわよ?
それに一昨日の佐倉君とのお買い物の件を含めても佐倉君は絶対に鈍感だよ!」


会ったことのない人に全力で鈍感だって言われるのはどうなんだろうか。

そう思ってると持ってた携帯がまた震えた。


またメール? 佐倉君だとしたら早くない?


メールを開くと今度は佐倉君ではなくて斉藤君からだった。


『おはようございます!
昨日は急にお家にお邪魔してしまいすみませんでした。最上さんが淹れてくれた紅茶とても美味しかったです。

昨日何があったかは知りませんけど何かあれば僕に言って下さいね?』


菜美との会話で何があったのではないかって思うのってすごく鋭いな。
だから斉藤君は昨日慌てて帰ったんだ。
今は自分の出番じゃないってわかって…


「由衣? 携帯見つめてどうしたの?」

「斉藤君からメールが来てね。斉藤君は優しいなって思った」

斉藤君からのメールの内容を菜美に説明しながら斉藤君の優しさを実感していた。








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