好きとは言えなくて…
「ハァハァ…間に合った?」
私と菜美は下駄箱の前で息を整えながら時計を見ていた。
久々に本気で走ったからお互いゼェハァ言ってる訳だけど。
まぁ、幸い私達は歩きながら喋ってた為に走ればものの2分で着いた。
それでもさっきの場所から歩いて10分って所にいたからそれで2分に着いたのは頑張ったと思う。
「あれ?
最上さんと…あと犬飼さん今日は来るのが早いですね」
自分の下駄箱の前で靴から上履きに変えているとすぐ近くから斉藤君の声がした。
ん? 今早いって言わなかった?
「早いってもうチャイム鳴ってなかった?
時間だっていつもなら予鈴がなってる時間だと思うけど…」
「予鈴なんて鳴ってないですよ?
それに今はまだ8時15分ですし」
私の通う学校の朝のチャイムが鳴るのは8時30分でそれから10分後に本鈴がなり担任が出席をとるためにやってくる。出席をとる前までに教室にいれば遅刻は免れる。
ちなみに私はいつもなら8時25分に学校に着くのだけど。
「それにしてもまだ8時15分!?
さっき時計見たらもう8時35分だったよ?」
そう言いながら左腕に付けている腕時計を見ると短針は8と9の間にあり、長針は7を示していて秒針は全く動いてる気配が全くなかった。