好きとは言えなくて…
「菜美ごめん。時計止まってた
それとあのチャイムは近くの小学校のだった」
なんかチャイムの音が違うと思ったんだよね。それに私達以外誰も走ってる気配もなかったし。
能天気なことを思いながら隣を見ると怒りで顔は真っ赤になり握った拳はふるふると震えていた。
「あのぅ…菜美さん? そんなに怒らなくてもいいんじゃないかな?
それに最初にチャイムの音を間違え「だまらっしゃい! 気づかなかった由衣も悪いよね?」すみません」
これ完璧にとばっちりですよね?
でもこうなった菜美を押さえるなんて無理な話で私は菜美に謝り続けた。
私の隣では斉藤君がオロオロしながら『落ち着いて下さい』と菜美に話しかけていたのけど。
しばらくして本当の予鈴が鳴り怒りが収まった菜美がスッキリした顔をしながら教室に向かった。
私と斉藤君はそんな菜美の後を追った。
教室に向かう途中でスカートのポケットに入ってる携帯が震えてメールが来たことを知らせた。
このメールで佐倉君を諦めないといけなくなることを私はまだ知らない。