僕は君の罪になりたい
「違い?…まぁ外見的なことで言えばギターは弦が6本でベースは4本ってことかな」




ふむふむ。




「ギターは音域が広くて高い音が出て、ベースは比較的狭く低い音が出るんだよ。ベースはリズム担当、ギターはハーモニーやリードを担当する感じかな」


「へぇ〜…。そう聞くと全然違うんだね。勉強になったよ」




コクコク頷きながら、ポローンとギターの弦を弾いた。



音楽なんてまるで興味がなかったけど、何だか楽しそうだな。





「俺、これで食ってけるようになりたい」


「素敵ね。いいと思うよ」


「“あんなに頭いいのに勿体ない”とか言わないの?先生なのに」


「夢に頭がいいも悪いもなくない?なりたいから頑張る、そういうものでしょ、夢って」




頭がいいから医者や弁護士になるワケじゃないし

悪いからって医者を目指しちゃいけないワケじゃない。



なりたいと想えるものの為なら人は頑張れるもんね。


私はその努力が好きだよ。






「やっぱみーちゃん最高!」


「まぁ私も頭いい方じゃないのに教師目指したくらいだからね。でもだから、生徒と夢に関しては真剣に向き合えると思うよ」




私の言葉に少し嬉しそうな顔をした成宮くんは


ギャンギャンとベースを弾きはじめた。




ちょっと(というか、かなり)うるさいけど

黙って見つめる事にした。






チャラチャラしてて、いつもやる気がなさそうな彼が


こんなに生き生きとしてる姿を見るのは

初めてだったから…。
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