立入禁止(ホラー×恋愛)
プロローグ
草木も眠る丑三つ時_。
ある真夏のうっすら霧がかかる山の中、、、。
静まり返った辺りには3人の足音が響く。
一時間程前に雨が止んだばかりで空気はムシムシとしていた。
地面は少しぬかるんでいる。
3人は三つの懐中電灯の明かりを頼りに目的地に向かっていた。
「やっぱり帰ろうょォ」
口をへの字にして小原旬(オハラシュン)は言う。
その声は震えていた。
「怖いんなら帰ってもいいんだぜ?このヘタレ」
先頭を歩く竹内勇(タケウチユウ)は罵る。
「勇!!」
2人の間に居る小野夏希(オノナツキ)が怒鳴る。
目的地に着くまでこの繰り返し。
そして夏希は勇の後頭部を睨む。
「なんかこの辺空気重くない?」
夏希は先程から感じている違和感を訴える。
「ホラやっぱり。行かない方がいいよ」
やはり旬の声は震えていた。
勇は2人を無視し、先に進んだ。
勇の後ろで歩く2人は仕方なく歩き続けた。
霧の中から、どんよりと影になって目的地は現れた。
「おっ、到着とうちゃく~」
勇は小走りで勝手に先へと行ってしまった。
夏希と旬は顔を見合わせ、やはり此方も小走りで向かった。
目的地_それは廃墟病院。