立入禁止(ホラー×恋愛)
≪旬-side-≫
「うわああぁぁあぁー!!」
旬の目の前には看護婦の霊ではなく、白いワンピースを着た髪の長い少女が立っていた。
肌が青白くこの世の者ではない事が旬でも判る。
驚きのあまり絶叫してしまったが、看護婦の様な恐怖感は無かった。
どこか悲しい目をした少女。
そんな少女は旬に救いの手を差し伸べた。
『ここに居ては見つかってしまいます。早くこっちへ』
透き通る様な声。
連れて行かれたのは病室。
『何故ここへ?』
少女は深刻な顔をして聞く。
「肝試しでカルテを、、、」
最後まで言い終わらないうちに少女は姿を消してしまった。
「ッ!!」
助けてくれたとは言え、人間が出来ない行為をする霊は怖い。
直ぐに少女は姿を現した。
『ここは呪われているのです。これを持って立ち去りなさい』
カルテを受け取ると、少女はまた消えてしまった。
『旬?、、、何処だ?』
遠くの方で旬の名を呼ぶ声が聞こえる。
「、、、勇?、、、小野?」