立入禁止(ホラー×恋愛)
「とりあえず三階まで行かないとな」
勇を先頭に3人は一階の階段へ向かった。
静かな病院に響く3つの靴音。
キュル...キュルキュル...
何処からか聞こえる音。
2人は勿論、夏希も気付かない。
「ここ事務室って書いてある」
三階の廊下を歩きながら扉を一つ一つ確認していると、夏希がプレートを照らした。
勇が取っ手を握る。
「・・・開けるぞ」
勇はゆっくりと右にスライドさせた。
中からの冷たい風が肌をくすぐる。
幸い中には何も居なかった。
部屋中を懐中電灯で照らし、壁に掛けられた沢山の鍵を見つけた。
「そんなぁ・・・」
3人は声を揃えて愕然とする。
「どれだよ・・・」
勇が頭をかく。
「早く帰りたいのにぃ」
旬は頭を抱える。
壁に掛けられた鍵の上には、紙が張られていた。
だが何かが飛び散って茶色く変色している。
その所為で何と書かれているのか判らない。
「何が飛んだのかな・・・」
夏希は壁を見つめる。
「そんな事より、どれが・・・」
違う意味で勇も旬も壁を見つめる。