立入禁止(ホラー×恋愛)
その光景を見て尚子の顔は青ざめた。
尚子は咄嗟に立ち上がり、泣きながら走った。
だが男にとっては歩いているのと変わりは無い。
尚子はまだ走る事が出来ないのが。
「・・・おじょーちゃん」
男は瞬きもしないでヘラヘラと笑いながら尚子の後を追いかける。
「来ないでッ!!」
尚子は壁を伝いながら非常口ではなく、扉の開いていた事務室のに入った。
尚子は鍵を閉め、鍵を掛けた。
尚子は部屋の奥へ逃げる。
窓の外を見ると非常口から逃げられた人々が目に入った。
「助けてー!!私を助けてーっ」
窓を開けて叫んだ。
だが誰もが見て見ぬフリ。
誰も助けてくれない。
神様にも見放された。
尚子は今まで感じた事の無い絶望感に襲われた。
尚子は窓の側に崩れ落ちた。
「怖いよ・・・お母さん・・・怖いよ・・・誰か助けてょ」
尚子はシクシク泣いた。
ドンドンドンドン・・・
扉を叩く音で尚子の涙は蛇口をひねった様にピタリと止まった。