立入禁止(ホラー×恋愛)
「おじょーちゃんはもう逃げられないよ」
無理矢理扉を開けようとしている。
ガッ・・・ガッ・・・ガッ・・・ガガガガ・・・
もの凄い音を立てて鍵は壊れ、扉は開いてしまった。
「きゃああぁぁー!!」
部屋の隅に逃げる。
無意味だと解っていても、尚子にはそうする事しか出来なかった。
「もっと叫べ・・・もっと怯えろ・・・もっと俺を楽しませろ・・・」
男は声を出して笑った。
だが尚子は叫ばなかった。
ただ潤んだ瞳で男をじっと見ていた。
「もっと叫べって言ってんだろ!!」
男は怒鳴り、尚子の胸ぐらを掴んで投げ飛ばした。
再び尚子は窓の側に崩れ落ちる。
後頭部を壁にぶつけて目の前が揺れる。
尚子が起き上がる前に男は尚子の胸ぐらを掴んで高く持ち上げた。
男は尚子を至近距離で見下ろした。
尚子の恐怖をあおる。
「おじょーちゃんが俺のラストゲーム」
尚子にはその言葉の意味が解らなかった。
男は尚子を持ち上げた。
尚子に足をバタつかせる力はもう残っていない。