立入禁止(ホラー×恋愛)
夏希は早くこの重い空気の流れる病院から抜け出したかった。
それは旬も同じだった。
「じゃぁ診察室探しに行こう」
勇は恐怖を感じないのだろうか。
3人は勇を先頭、旬を間に挟む様に並び、受付のカウンターの所を左に曲がり診察室を探した。
長い闇の廊下を進みながら、目に付く扉を懐中電灯で照らし探していると、『診察室1』『診察室2』『診察室3』とプレートに書かれた扉を見つけた。
だがどの扉も堅く閉ざされていた。
どうやら鍵が掛かっているようだ。
「なんだよ、何処の扉も開かねーじゃん」
勇が3の扉を蹴る。
「帰れって事だよ」
夏希が眉を顰めて言う。
「ココまで来て帰れるかよ」
どうやら勇はカルテを手に入れるまで帰らないようだ。
『診察室4』の扉は3の扉の隣に無いので、多分診察室は3つしか無いのだろう。
ならば鍵は3つ。
勇は3の扉を通り過ぎて廊下を奥へ歩き出した。
すると左手側に二階へと続く階段を見つけた。