きみのとなり

忘れて



「行ってきます」



「転ばないようにね」



「うん」




私はまだ治らない足に気をつけながら家をでた。




前は拓ちゃんと行くから、階段だったけど最近はずっとエレベーターだ。




「よいしょ」




私は杖で体を支えながら、通学路を歩く。




『自分から触るのは平気でも、触られるのは嫌なのな』ーー




拓ちゃん…あれは…




どういう意味?



「ハァ…」



球技大会のお礼も言ってないのに…



「ハァ…って、うわっ!!」



やばい!杖を小石に引っ掛けた!




「っ……」



私は転ぶ覚悟をして、目をギュッとつむった。



「未来!!!」



「……!?」



ポスッと誰かが私を受け止めてくれた。



「危ないだろ…」




「拓ちゃん…」




どうして…



「今日は朝練なし。大丈夫か?」



「う…うん」



「ん。じゃあ」



「うん…」




拓ちゃんは私をしっかり立たせると、すぐに私を置いて歩き出してしまった。




…何、それ







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