きみのとなり

「ふふ…照れちゃってかわいい！」



河野さんはそう言って笑う。



なんだかバカにされた気分だ。



「ねぇ、君！名前は？」



河野さんは張り付いた偽りの笑顔を今度は鈴木君に向けた。



「鈴木斗真です。上原とは同じクラスで……」



「へぇ～！だって、拓海！！」


河野さんに少し空気を読んで欲しい。



「あ！あたし、拓海の彼女の河野美和です！！拓海のことは…」



「知ってます。石川先輩有名だったし」



「そっか！だって拓海！！」



河野さんはニコニコと微笑んで拓ちゃんの肩を叩いた。





「……あの、石川先輩」



「…何？」



「彼女、いるんですよね？」



鈴木君は真剣な顔つきで、河野さんではなく拓ちゃんを眺めた。




「……ああ…」



鈴木君の不思議な質問に拓ちゃんは眉間にシワを寄せて答えた。




「…じゃあ、これで俺の疑問はなくなったんではっきりしました」



一体鈴木君は何が言いたいんだろうか…