きみのとなり


「ああ…やっちゃったよ…」



ご飯もお風呂も済ませた私は参考書片手にベランダにいた。



柵にもたれ掛かってブツブツ言っている私は、もちろん参考書なんか読んでいない。




「ハァァ…どうしよ…告白されたのなんて小学生以来だし…ハァ…」




カラカラーー



「…ん?」



窓が開く音がして、私は寄り掛かっていた体を起こしてそっちを向いた。




「…あ……」



「…お……」



……拓ちゃんだ…




「こ…こんばんは!!」



うわぁ…私…言うこと違うし。


球技大会のお礼言いたいのに!



「……フッ…こんばんは」



拓ちゃんは私から出てきた言葉に、一度だけ笑ってあいさつを返してくれた。



よかった。



そんなに冷たくない…



私は慌てる中でどこか落ち着いてそう考えていた。




「…あっ…のさ…」



「ん?」



「あの…」



手汗をかく。



お風呂に入ったのに、首にも顔にも汗。




私は両手をギュウッと握りしめて、拓ちゃんと私の間にある低い壁に手をついた。








< 113 / 338 >

この作品をシェア

pagetop