きみのとなり


「あ…のね…!…きゅっ…球技大会の練習…」



拓ちゃん相手なのに緊張する。



…噛み噛みだし




「…っ球技大会の練習…こんなへたくそでセンスのカケラも無い私にサッカー、教えてくれて…ありがと!」



い…言えた…




言い終わった私の手はカタカタと震えている。



それを見てこんなに自分が緊張していることを知る。




変なの…



相手は拓ちゃんなのに




「……もう聞いた…」



「へ?」



拓ちゃん何て?




「…いや…何でもない。…そんなお礼言うためにベランダにいたの?」



「あ、うん!一応…」



「そっか…」



拓ちゃんはニッと笑って夜空を見上げた。




「……拓ちゃん…」



「ん~?」




拓ちゃん……




「あのね」



「うん…」




もう一つ……聞いて…



拓ちゃん…




「…拓ちゃんを好きっていうの…忘れて……」




「………」







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