きみのとなり
君の1番
季節は秋になり始めていた。
朝とか夕方はもう肌寒くて、制服の半袖シャツを長袖シャツにして学校へ行くようになった。
「ねぇ?未来も行かない!?」
授業の間の10分休み。
梢が紙を一枚手にして、女子と一緒に私の周りを囲った。
「…どこに?」
私はちょっと怪訝な顔で聞いてみる。
「んっもうー!そんな顔しないでよ!ほら!こーれ!!」
「何?」
梢は持っていた紙を私に差し出してニコリと微笑んだ。
「西高の学園祭。一度行ってみたかったんだけど、なかなかいけなくて…それで、今年は中学生最後だし行ってみようかな?って思ったの!」
「……そう…」
なるほどこれは、西高の学祭案内か…
私はニコニコする梢と数名の女子とは反対に、小さくため息をついた。
「運が良ければ石川先輩に学校案内してもらっちゃったりしてぇー!!」
キャーッと梢以外の子達が悲鳴をあげる。
「ね?未来も……」
「ごめん。私は…」
私が断ろうとした時だった。
「行こーよ。西高」
どこからともなく声がした。