きみのとなり
「…未来ちゃん?」
「え…?」
みんなの輪の中でぼーっとしていた所へ誰かに声をかけられた。
「……河野…さん…」
振り向いたその先には
「やっぱり!未来ちゃんだ!」
宣伝の看板を持った河野さんがいた。
「みんなで来たんだー?」
「あ…はい」
なぜだか、河野さんは男装をしている。
しかもどこかで見たことあるような服…
「…あ、これ?」
「え…あぁ…どっかで見たことあるなーって…」
まじまじと見すぎた私を、河野さんはクスクスと笑った。
「…見たことあると思うよ?」
「…へ?」
「……これね…」
河野さんは服の袖を引っ張って
大事そうに顔を押し付けた。
「未来!!」
ドクンドクンと心臓が高鳴っていた所へ、裕介の元気な声が響いた。
「…裕介……」
「兄ちゃん、この部屋だってさ!!お水の…花道…?」
裕介が河野さんの持っていた看板の文字を読み上げた。
河野さんはそんな裕介に微笑みながら、どうぞと言って私達の集団を部屋へと入れた。