きみのとなり


部屋に行った私は参考書を広げる訳でもなく



電気も点けずに窓を開けた。



そしてベランダに出る。




夏の蒸し暑い空気が一気に私を包んだ。




せっかくお風呂入ったのに、また汗かいちゃうかも。




「ふぅ…」



私はベランダの手すりに寄り掛かり、携帯を開いた。




あのメールを河野さんに送ったあと、河野さんからは返事は来なかった。




返信されて困るより、来ないほうが全然いいのだけれど…




私は例のメールを開いて携帯を見つめた。




顔文字がうざいと感じてしまう私は最低人間?




「…ハァ……」




私は夜空に顔を向けて目を閉じた。




夏の空気とか風に触れて、虫の声とか草が揺れる音を聞いていると



拓ちゃんと過ごした昔を思い出す。




まだ私が、拓ちゃんの隣に当たり前のようにいた時……





「…未来?」



「……あ…」



私はそっと瞼を開いた。




「風邪ひくぞー…ってゆう気温でもないか…」




拓ちゃんだ…








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