きみのとなり


鈴木君に引っ張られて着いたのは


外だった。



鈴木君がコンクリートでできた階段に、腰掛けたので


私もその一段後ろに座った。




「…お化け屋敷は?」



なぜかお化け屋敷に行かなかった鈴木君に私は尋ねる。




「……行きたい?」



「え…ううん…」



なるほど、そういうことか…



鈴木君は私を河野さんから離すために嘘ついてくれたんだ。




「どうして?」



「?」



「どうして、そこまでしてくれるの?」




気付いたら、本心が口に出ていた。




「……ははっ…それ、俺に聞くの?」



鈴木君が笑いながら返してきた言葉を頭の中で繰り返す。




「…っ~」



そうだ。



私、鈴木君に告白されてたんだ…




「……」


私は恥ずかしくなって押し黙った。





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