きみのとなり


「……俺考えてたんだ」



「…え?」




少しの沈黙を破って、鈴木が急に話し出すから


私はちょっと肩を震わせた。




「…球技大会……上原がサッカーじゃなくてバスケだったらって」



鈴木君の声は穏やかだった。



そんな穏やかな声だから、私はまた何も言えなかった。




「…あの時…上原がバスケだったら、石川先輩じゃなくて俺が上原にバスケ教えてたのかなとか…ケガした上原を俺がおぶってたのかな…とか…」




鈴木君はそこまで喋ってから、学園祭に来る前に買ったであろうペットボトルのジュースを取り出して


勢いよくのどに流し込んだ。




「……ケホッ!!…ぅ!」



「鈴木君!?」



私が黙っていると、勢いよく流し込んだせいで


鈴木君がジュースにむせた。



「ちょっ…大丈夫!?これ使って!」



私は慌てて持っていたハンカチを取り出して前を向いたままむせている、鈴木君に差し出した。








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