きみのとなり
「……拓ちゃんって言って…手を振って別れた後も、口に手をあててずっと微笑んでたり…」
「……」
拓ちゃんが中学生の時…
しっちゅう辞書を借りてた私。
毎日返しに行って、その後手を振って別れてたの。
拓ちゃんの背中に…微笑みながら…
「…今も…我慢しないで……感情に任せればいいのに…」
鈴木君は悲しいような顔をして言った。
…どうして、わかるんだろう。
どうして……
「…っ……わぁぁぁっ…」
鈴木君のせいで作り笑いが台なしだ。
泣かないで頑張ったのに…
「上原…」
鈴木君は私の肩を優しく抱いてくれた。
嫌だとか思わなかった。
緊張もしなくなってて…
ただ、鈴木君に甘えて
大声を出して泣いたんだ。
「っ…ごめ……」
「…いいよ」
苦しい。
ただ、苦しいだけ…