きみのとなり
鈴木君は走って戻って来たかと思うと、私の手をギュッとその大きな手で握り締めた。
「!?」
突然のことで、私は肩をビクッとさせた。
「もう付き合ってとか、欲をかいたことは言わないから……」
「うん」
「…ハァ……今度の日曜、俺と二人で遊ばない?」
鈴木君は息を整えながら微笑んだ。
「…ダメ?」
「……」
ーー付き合ってとか、欲をかいたこと言わないから…
私も、同じこと…
拓ちゃんに思ってた……
辛いんだ…自分を見てもらいたいのに
きっと眼中にないから、欲をかかずに側にいるだけ
それって
辛いんだ…
「…鈴木君」
「はい」
私は、私の手を握る鈴木君の綺麗な手を見つめた。
「……今度の、日曜日で…いいんだね…?」
「え…うん!上原大丈夫?」
「うん、平気…」
「やった!ありがとう!!」
鈴木君は人懐っこい笑顔を私に向けた。
「うん…じゃあ今度こそ…バイバイ」
「うん!上原、気をつけてな!」
「ふふふ。鈴木君も」
私達は手を振って別れた。