きみのとなり
「いってきます」
玄関で見送るお母さんに私は手を振った。
「いってらっしゃーい」
いつもなら見送りなんてしないのに、興味津々で…
ニコニコしちゃって。
まったく…
「上原?」
「はい!!」
「どっか行きたいとことかある?」
「え…」
行きたいとこ……
「うーん……」
そういえば考えてなかったかも。
「…あ!そうだ!」
思い出して、私は明るい笑顔で鈴木君を見た。
「何かある?」
「うん!あのね!今日小学生のサッカーのクラブチームの大会があって裕介が出てるの!グランドはここから近いんだけど………って…ごめんね。鈴木君はサッカーよりバスケの方がいいよね」
私はいっぺんに言いたいことを話して、勝手にしょんぼりしてみせた。
「……上原…」
「ん?」
「行こうか。グランド」
「え?でもサッカー…」
「いいから!教えてよグランド!」
「あ…え…うん…」
私は鈴木君に手首を掴まれたまま道案内をした。
グランドに向かいながら、ちょっといいな…なんて考えてしまったりして…