きみのとなり


その姿に、ちょっとだけ…


胸がトクンとなった。




「……俺さ…上原が元気ないの嫌なんだ」



「え…?」



「…夏休みくらいから元気なかった。気になったけど、聞けないし…だから今日は誘ったんだ。まぁ、何で元気ないかは大体わかってたけどね」



「……」




鈴木君はクスッと笑うと、静かに私の手を握った。




「!?」



私はびっくりして指をピクッとさせたけど



鈴木君の手があまりにも温かくて……




思わず握り返した。




鈴木君はそんな私を、一瞬驚いて見たけど



すぐにグランドに向き直り、私の手をギュッとさらに強く握ってくれた。




まるで…




拓ちゃんみたいに……




温かい手で




小さい頃に、拓ちゃんが繋いでくれた手みたいで……




すごく安心できたんだ…







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