きみのとなり
試合が終わって、私達を見つけた裕介は笑顔を向けてこちらに向かってきた。
「未来!!来るなら言えよなー!」
「ごめんね。思いつきだったから」
「ま、いいや。鈴木の兄ちゃんもありがとなー!!おかげで勝ったよ!!」
裕介はパアッと明るい笑顔を鈴木君に向けた。
「鈴木の兄ちゃんって…なんか、ちびまる子ちゃんの“佐々木のじいさん”みたいだな…」
鈴木君はそう言って笑うと、裕介の頭を優しく撫でた。
「ククッ…鈴木の兄ちゃん、ほんとの兄ちゃんみたいだ。あ、でもほんとの兄ちゃんは意地悪だけどな!!」
「……石川先輩?」
「うん!!」
ドクンと心臓が嫌な音をたてた気がした。
ダメだよ裕介……
今は、ダメだよ…
拓ちゃんのこと…話しちゃ…
「ゆ…裕介!!」
「ん?」
思わず私は叫んだ。
裕介も鈴木君も不思議そうに私を見る。