きみのとなり


試合が終わって、私達を見つけた裕介は笑顔を向けてこちらに向かってきた。



「未来!!来るなら言えよなー!」



「ごめんね。思いつきだったから」



「ま、いいや。鈴木の兄ちゃんもありがとなー!!おかげで勝ったよ!!」



裕介はパアッと明るい笑顔を鈴木君に向けた。




「鈴木の兄ちゃんって…なんか、ちびまる子ちゃんの“佐々木のじいさん”みたいだな…」



鈴木君はそう言って笑うと、裕介の頭を優しく撫でた。




「ククッ…鈴木の兄ちゃん、ほんとの兄ちゃんみたいだ。あ、でもほんとの兄ちゃんは意地悪だけどな!!」



「……石川先輩?」



「うん!!」




ドクンと心臓が嫌な音をたてた気がした。




ダメだよ裕介……



今は、ダメだよ…



拓ちゃんのこと…話しちゃ…




「ゆ…裕介!!」



「ん?」



思わず私は叫んだ。



裕介も鈴木君も不思議そうに私を見る。






< 144 / 338 >

この作品をシェア

pagetop