きみのとなり


この胸のザワザワは何か考える。



「…っ……」




鈴木君の笑顔が……



頭に浮かぶ。




「…っ…鈴木君…」




私……




「寂しいよ…」




鈴木君……



あのね…


今はね……





「…上原!!」



「!?」




涙を流しながら、鈴木君と別れた場所で突っ立っていたら



帰ったはずの鈴木君が、このあいだみたいに

走って戻ってくるのが見えた。



「え……」



彼は、私の前まで来ると私の手を握って笑った。




「鈴木君…どうして…戻ってきたの…?」



「ハァ…ハァ…っ…ごめん…ハァ…ほうっておけなかった…」


「…どうして……」



鈴木君の言葉に、また涙が出てくる。




「今日こそは振り向かずに帰ろうって思ったんだ。上原のこと、諦められなくなるから……けど…俺…振り向いちゃって…」


鈴木君は切れる息を整えながら、丁寧に言葉を発していく。




「…上原が、泣いてたから」



「っ…」





< 147 / 338 >

この作品をシェア

pagetop