きみのとなり
「あのね、私…昨日…鈴木君と、で…デート?したの」
「デート…うん、それで?」
私が恥ずかしがりながら話すことを梢は真剣に聞いてくれている。
「帰りに、鈴木君に…だ…抱きしめられて…」
「鈴木が!?嘘っ!?」
「あ…本当に…」
「あ!ごめん…続けて…」
「うん。それでね…私のこと“ほっとけない”って言ってくれて…私…拓ちゃんが好きなはずなのに…鈴木君の優しさに甘えてるのか、鈴木君と…離れたくないって思ったの」
私は目に涙を溜めて、俯いた。
「……拓ちゃんのこと…好きなはずなの…なのに、鈴木君も大事で」
「仕方ないよ」
「……え?」
梢はまた困った顔をしていた。
梢のこんな顔あんまり見ない。
「石川先輩って、未来の話し聞いたり、球技大会のときとかこないだの学祭の行動見てたりすると、もしかして未来のこと…って思うけど、イマイチよくわからないじゃん?思わせぶりってやつ?」
梢はそう言うと、怒んないでねと言って笑った。