きみのとなり
「やめろよ。そーゆうの」
…え……
鈴木君が冷静に、だけど少し怒ったような声で
彼の周りで冷やかしている田中君をはじめとする男子に言った。
私はその言葉を耳にして、ゆっくりと顔を上げた。
「…あ……」
一瞬、鈴木君と、目があった。
すごく悲しそうな顔をして、すぐに笑顔になる。
「俺だけならいいけど、上原まで巻き込むなよ。ただ二人で勉強しに行っただけだから。上原に頼まれたんだよ。わかんないとこ教えてって」
「そっかぁ~!ごめんなぁ斗真。ジュースおごる!」
「いや、足りないな」
「はぁー?」
鈴木君は田中君と笑い合いながら、席に向かった。
そのとき、また目があった。
…悲しい顔してる
させたのは……
私……
だって、すごい嘘だよ。
鈴木君…
あの日勉強なんてしてない。
嘘ついたのは……
私のためだよね…?