きみのとなり
全部…全部…正直に言うよ。
「わ…たし、拓ちゃんが好きなはずなのに……」
「上原…」
好きなはずなのに…
「っ…鈴木君に抱きしめられて、安心したし…ドキドキしたし」
「上原」
「…っ…嬉しかった!」
ダメだ。涙が止まらない。
「私……っ…!!」
頭が混乱してて何を話したらいいかわからない。
だけど、そんな私を鈴木君は急に抱きしめた。
鈴木君の鞄がドサッと落ちる音が聞こえた。
「…上原…いいよ。石川先輩のこと好きでも」
「っ…でも」
「いいんだ。石川先輩のこと、切らなくていいから…」
鈴木君の私を抱きしめる力が強くなる。
「俺と付き合って?…俺の隣にいて?」
「…っ…」
「上原?」
私は小さな声で「うん」と言って、一度だけ深く頷いた。
そして、私を抱きしめている鈴木君の背中に、私も手を伸ばしてギュッと力を込めた。