きみのとなり
「…拓ちゃんのこと、吹っ切れたわけじゃない。だけど……」
だけど……
「鈴木君のことも、大事で…離れたくなくてっ…抱きしめられると胸がギューッてして……それから……っ!」
続きは言えなかった。
まだまだ鈴木君のくれること、たくさんある。
だけど…
「………」
……鈴木君の手が私の両頬を包んでて、それで、この唇にある柔らかいのが、鈴木君の唇で…
…………え?
「……ごめん…」
唇を離した鈴木君は少し頬を赤くして謝った。
「……あ、うん?」
私は何が起こったのか、わからなくて
いや、理解はしてたけど色々考えてしまって言葉が出てこなかった。
「…上原…今は、俺といてくれればいいから」
「…え…?」
「まだ完璧に好きになってくれなくていい。俺も段々と上原に釣り合う彼氏になるから……だから…前も言ったけど」
……鈴木君…
今はまだ…甘えててもいい?
私……思ってた以上に弱いみたい。
だからーー
「今は隣にいて。上原」
隣に…いてくれる?