きみのとなり
第1章
私の特等席
拓ちゃん…今日は何してるかな…
まだ部活かな?
でも今日は早く終わるって拓ちゃんのお母さんも
拓ちゃんの弟の裕介も言ってたし…
私はベランダの窓を勢いよく開けた。
「っ…はぁ~…」
そして思いっきり息を吸う。
ベランダの壁に手をついて…
「っ…拓ちゃーーん!!」
お隣りさんに向かって叫んだ。
「拓ちゃん拓ちゃん拓ちゃんっ!!」
出てこないから仕切りの壁に体を預けてバタバタと足を振る。
「拓ちゃん!拓ちゃん!たっ…わ…」
暴れすぎた…
私はそのままお隣りさんのベランダへダイブ……
って…
「あれ?」
ダイブ…してない…
ベランダの床の代わりに、見えるのは…2本の綺麗な腕。
「…あ!拓ちゃんっ!!」
「こらっ!未来(みき)!何度もダメって言ってるでしょーが!」
拓ちゃんは私をストンと腕から降ろすと、軽く私の頭をコツンとした。