きみのとなり


その日は、それぞれの部屋で勉強を各自するということになって


みんなで民宿の外に出て花火をした。



もちろん、佐藤先生も。




「いいかーお前達、くれぐれも人に火は向けるなよ!うわ!こら田中!」



「ごめんごめん佐藤ちゃん!」


田中君がわざとなのかたまたまなのか、先生に花火を向けてしまったらしく


先生は田中君の花火を取り上げ、水が溜まったバケツにぽちょんと入れてしまった。




「お前は言ってるそばから!!いいかーみんな。田中みたいな遊び方はダメだからなー」



「佐藤ちゃん酷い!」



「はい。分かったら遊んでいいぞー」



「無視!?」




田中君と佐藤先生のやりとりにみんなが笑った。



「ほんと、田中ってガキだよねー」



梢は花火に火をつけながら、苦笑した。



「…ほんと、ガキすぎて…鈍感だし…何にも分かってないんだから」



「……へ?」




今…梢…なんて言った?



「…未来、私…田中のこと好きなんだー」



「………」





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