きみのとなり


好き?



誰を??



「田中のこと、好きなの」




「えぇぇーー!?」



持っていた花火がシュンとなって消えた。




そして私は、火が消えた花火をポトリと落とした。




「う、う、うっそー」



「私もそう信じたいけど、ほんとみたい」



「そっか。……うん。そっかぁ…うん。いいと思う!」



やっと状況が飲み込めた私は、梢の肩をバシッと叩きながら言った。




「……はは…ありがとう…」



「…?…ほんとにいいと思うよ?田中君と梢、仲いいしー、お似合いだよ」



「…うーん」



「?」



梢はあまり元気がない様子で、また次の花火に火をつけた。



ババッとピンクの火が明るく燃える。




「…あいつ、よくわからないからさ」



「田中君が?超単純じゃない?」



「全く。ああやってへらへらしてるけど実際は何考えてるか分からないの」



「ああ…確かに…」




私も次の花火を手にして火をつけた。



「あ、ミドリだ」



梢とは違ってミドリの火。





< 203 / 338 >

この作品をシェア

pagetop