きみのとなり


「言っても多分ダメだろうなって。だからこうやって、あいつを見てるだけ」



えへへっと笑った梢は火が消えてしまった花火をバケツに入れた。



チュッと間抜けな音がした。




「…未来はすごいんだよ」



「え?」



「石川先輩にダメだって分かってても、言ったでしょ?好きだって」



「ああ…あれは、バカなだけだよ私が」



「ううん。凄くうらやしいの。未来のそうゆうまっすぐなところ」




梢は優しく微笑んでまた残り少ない花火の中から二つの花火を取って、一つは私にくれた。



「あ、黄色だよ。梢と一緒」



火をつけると今度は黄色で、梢とも同じ色だった。




「…とりあえずさ。言えなくても想うことって大切なんだよ。好きっていう気持ちが大切なんだと思う」



私は明るく燃える花火を見つめた。




「私は無理に告白しろとか言わないよ。それは梢が決めることだから。でも、梢が話聞いてくれるみたいに私も話は聞くから…」



私は「ね?」と梢に微笑んでみせた。





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