きみのとなり
梢は何も言わずに笑って微笑んだ。
「あ、あとちょっとしかないよ。花火。線香花火がいっぱいあるからこれやろっか」
火が消えてしまったので、梢がまた新しい花火を持ちに行ったけれど
どうやら残り少しで、梢は線香花火を大量に持ってきた。
「…あ」
「うん?」
私は渡された線香花火を見つめながら声を漏らした。
「…線香花火は……」
「え?何かダメだった?」
火をつけようとしていた梢がその手を止めた。
「…あ…ううん!何でもない!!ごめん!やろう!」
私はあははっと笑って線香花火に火をつけた。
「やっぱりいいねー」
梢も自分の線香花火を眺めながら言った。
「……梢、知ってる?」
「んー?」
「線香花火のジンクス」
「何それ?」
梢がクスッと笑う。
「うん。小さいときにある人から教えてもらったの」
私は紅い花火の先を見つめた。