きみのとなり



ーー『未来!線香花火は花火のいっちばん最後にやるものだぜ』



『どーして?』



『その方がいい気持ちで遊び終わるんだ』



『へー。何で?』



『線香花火にはジンクスがあるから』



『じんくす?』



『うん。おまじないみたいなものだよ』



『ふーん。どんな?』



『あのな…』ーー







「線香花火の玉が火が消える最後まで一度も落ちなければいいことがあるんだって」



「へー!なんかいいねそれ!誰が教えてくれたの!?」



梢はニコッと笑って聞いた。




「…秘密」



「何それー」



「いいの!私にだってとっておきたい思い出くらいあるの!」


「はいはい」




私達はそれからピタリと黙って線香花火を見つめた。





「あ…」



ポトリと私の線香花火が落ちた。




残った火が弱々しく火花を放っている。





「あ!落ちなかった!やったー!!」




一方梢の線香花火は落ちずに火が消えたみたいで、私とは違って梢は大はしゃぎ。





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