きみのとなり

違う感情



泣きながら走った。



とりあえず、斗真君に会いたくないから。




「あ!未来!今からお風呂行こうと思ってたんだー!未来も行こう……って、未来どこ行くの?」



途中、梢とばったり会ってしまった。



泣いてるのがバレるから、私は慌てて来た道を戻ろうとした。



けれど。




パシッーー



「っ!」



「はい。追いかけっこはおしまいだよ。みぃたん」



「田中…君…」



田中君に腕を捕まれた。




「追いかけっこって…」



「……何かあった?」



「………」



私は涙を拭きながら首を縦に振った。




「未来!!」



梢が走ってきた。




「斗真は?」



「………っ…ぅ…」



田中君がその名前を口にして私はまた泣き出した。




「あー…斗真か…」



田中君はあちゃーと頭を抱えてため息をついた。



「俺、捜してくる。多分部屋にいると思うけど」



そう私と梢に言うと、田中君は鼻歌を歌いながら歩いて行った。




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