きみのとなり
次の日。
学習会に参加はしたのだけれど、隣には梢に座ってもらった。
斗真君じゃなくて梢に。
周りも、気まずくなっていることに気付いているみたいで、誰も何も言ってこない。
「あ、筆箱部屋に置いて来ちゃった。未来、借し…て…」
「……」
私はノートにサッカーボールを描きながら、梢の声を聞き流した。
ごめんね梢。
何か、色々ダメだ。
私……全然ダメだ。
「…っ」
「未来?どうしたの…」
気付いたら、うるうるしてきて
涙が頬を伝っていた。
「先生!」
梢が突然手を挙げた。
「何だ?」
「未来…上原さん、具合悪いみたいなんで部屋連れていきます」
「具合悪いのか上原。大丈夫か?」
佐藤先生は生徒思いの先生だから、焦った表情でとても心配してくれた。
「合宿は慣れないからな、体調を崩したんだろう。ああ…上原、部屋に戻りなさい。様子を見て具合が優れないようなら親御さんに連絡するから。渡辺、連れていってやってくれ」
佐藤先生にそう言われた梢は私の肩をさすりながら、一緒に歩き出した。