きみのとなり
鞄に荷物を詰めながら私は昨夜のことを思い出していた。
ーー『でも、未来のはそうじゃない』
「っ…」
私は……拓ちゃんのこと…
「未来~」
帰ってきた梢の声でハッとした私は、止めていた手を動かした。
「佐藤先生が送り届けてくれるって!」
「ほんとに?ありがとう梢…」
私は梢にニコリと微笑んだ。
「……未来…」
私が微笑むと梢もフッと笑って、私の横に静かに座った。
「あんまり、無理しないでね」
「え?」
何が?と、私はキョトンとして梢を見た。
「…色々、抱えないでってこと。重たくなっちゃうよ」
梢はそう言うとフゥと息を吐いた。
「何でも言わなくてもいいの。吐き出したいときに使ってくれれば」
「…梢」
びっくりした。
梢がそんなこと思ってくれてたなんて。
「……って、らしくないこと言っちゃった!あはは!」
「ううん。ありがとう梢…」
私達は顔を合わせてお互いにクククッと笑った。