きみのとなり


「佐藤先生、迷惑かけちゃってすみません。お願いします」



私はまとめた荷物を両手に持って佐藤先生の車へと乗った。




「わお。高級車」



「そうだぞ。高い車なんだから汚すなよー」



先生はシートベルトをつけながらそう言ってガハハと笑った。



「じゃあ出発するぞ」



「お願いします」




私は膝に置いた荷物が落ちないように、両手で荷物を支える。



「まぁ、そんなに気を使うな。上原が汚すなんて思ってないから」



先生は穏やかな笑顔で言った。




「で、具合は大丈夫か?」



「あ、はい」



「まぁ家に帰ってよく休みなさい。勉強疲れだろう」



「そうですかね」



私はあははっと笑った。



「上原は段々と成績が伸びてきてるからな。俺は勉強疲れだと信じるよ」



先生は特有のガハハという笑い方をした。





< 216 / 338 >

この作品をシェア

pagetop