きみのとなり
「佐藤先生、迷惑かけちゃってすみません。お願いします」
私はまとめた荷物を両手に持って佐藤先生の車へと乗った。
「わお。高級車」
「そうだぞ。高い車なんだから汚すなよー」
先生はシートベルトをつけながらそう言ってガハハと笑った。
「じゃあ出発するぞ」
「お願いします」
私は膝に置いた荷物が落ちないように、両手で荷物を支える。
「まぁ、そんなに気を使うな。上原が汚すなんて思ってないから」
先生は穏やかな笑顔で言った。
「で、具合は大丈夫か?」
「あ、はい」
「まぁ家に帰ってよく休みなさい。勉強疲れだろう」
「そうですかね」
私はあははっと笑った。
「上原は段々と成績が伸びてきてるからな。俺は勉強疲れだと信じるよ」
先生は特有のガハハという笑い方をした。