きみのとなり
あのあと。
田中君が帰って、教室には梢と私と斗真君。
そして、優子ちゃんが残った。
私達はさっき起きた出来事がインパクトがありすぎて、ただ呆然と立っていた。
「…あーあ……」
沈黙を破ったのは梢だった。
「…バカみたい…私…」
梢は今にも泣き出しそうな顔で笑う。
「何勝手に赤くなってんだろう…バカみたい…ほんと…バカ…」
私はかける言葉が見つからず、唇を噛み締めた。
「鈴木にも優子ちゃんにもバレちゃったよね。あはは……何で、あいつのことなんか…好きになっちゃったんだろ…」
そう言った梢の顔は、泣きそうな顔からほんとに泣き顔へと変わってしまった。
「梢…」
「梢ちゃん」
私と優子ちゃんは梢に駆け寄って肩を撫でたり背中を撫でたりした。
「平気であんなことされたら…もう私なんか…女の子として見てないって分かって…でも」
うん…
でも…
わかるよ、梢…
でもね。
「大好きなんだっ…」