きみのとなり
大丈夫大丈夫。
私は貧血でも風邪はなかなか引かないんだから。
「渡辺、大丈夫だった?」
帰り道に斗真君が心配そうに聞いてきた。
「顔が真っ赤で熱が38度代。病院行くって言ってたよ。だから大丈夫だと思うけど…風邪はやってるんだって」
「みたいだなー。あ、未来は大丈夫か?渡辺とずっと一緒にいたよな」
「大丈夫だよ!私、貧血は起こしても風邪はめったに引かないんだから!」
私はニッと笑ってみせた。
「そっか。でも、きをつけなきゃな」
「うん。斗真君もね」
「おう!じゃあな」
そう言って私は手を振って、マンションに入った。
そう。
風邪の気配なんかこのときはもちろんなかった。
だけど…