きみのとなり
拓ちゃんは困ったように笑いながら、河野さんの頭を優しく撫でた。
「未来が寝坊しそうだったから迎えに行った。色々って言ってもそんだけ。分かった?」
「…うん」
ズキズキ…
心が痛い。
河野さんを撫でる拓ちゃんの手。
私を撫でるみたいに優しくて…
私はその光景を見て、息が苦しくなった。
泣きそうなのを必死で堪える。
「っ…拓ちゃん!」
「ん?」
「私、遅刻しちゃうからもう行くね!」
「え?もうそんな時間か?」
「じゃ!」
「え…おい!未来!?」
私は歯を食いしばりながら走った。
悔しい
悔しい
悔しい
「っ……拓ちゃんの…バカ…」
何で気付いてくれないの…?
こんなに好きなのに…
どうして、私の気持ちには
気付いてくれない?