きみのとなり
私は、立ち上がってむきになって叫んだ梢を驚いて見上げた。
「鈴木とうまくいってるのは分かる。でも……なんか…違う…」
「……違うって…」
意味が分からなかった。
何を言っていいのかも分からなかった。
だって、あまりにも梢が真剣だったから。
「おーい。渡辺ー。叫ぶんじゃなくてバドミントンをしなさーい」
シンとなった体育館だったけど、体育の先生が冷静に梢に言った。
「……すいません…」
梢は唇を噛み締めると、ラケットを持ってコートへと向かった。
「……」
なんか違うって…何が?
私、無理して斗真君と付き合ってるわけじゃないよ。
ほんとに斗真君が好き。
自分で思ってるよりも斗真君のこと好きになってる。
だからね。
拓ちゃんはもういいの。
いいんだよ。
梢、むきにならないでいいよ。