きみのとなり
何で?
さっきまで私といて、用事あるからって帰って行ったんだよね?
私はドキドキと鳴る胸を押さえながら壁に隠れて聞き耳を立てた。
「ただの幼なじみって言った。だから私…安心してた。でも…!」
幼なじみ?
「拓海が未来ちゃんを見る目は幼なじみを見る目じゃない。ましてや、妹でもない!」
え…
私?
それを聞いてドキドキが更に速くなる。
「ねぇ…拓海言ったよね?ただの幼なじみって…妹みたいって。そう言ったよね!?」
河野さんはそう涙声で力無く叫んだ。
「………」
ドキドキが止まらない。
というか、むしろ音はドクンドクンだろう。
私は……どうしたらいい?
「……河野…」
苦しくなって胸を押さえたとき、拓ちゃんの声が聞こえた。
「幼なじみとか、兄妹とか……思ってたのは俺じゃない。未来だよ」
「はっ…くっしゅん!!!!」