きみのとなり
やってしまった。
冷や汗がハンパない。
その場がしーんとなる。
「…誰?」
河野さんが不機嫌な声で言った。
ああ…
最悪。
くしゃみくらい我慢できなかった自分が憎い。
私は頭をコツンと自分で叩いてから、仕方なく一歩踏み出して壁から体を出した。
「……未来ちゃん…」
河野さんは驚いた顔で私の名前を呼んだ。
「未来…!?」
すると、拓ちゃんが慌ててドアから出てきた。
「……っ…ごめんなさい!」
私はいたたまれなくなって、部屋に向かって駆け出した。
拓ちゃんも河野さんも何も言わなかった。
バンッと思い切りドアを閉めて、慌てて鍵も閉めた。
「未来?帰ったの?ドアは静かに閉めなさいよ?」
そんなお母さんの小言を聞き流して、急いで自分の部屋に入った。
「…っ……」
何で…
何で…
どうして今更あんなこと言うの?
意味わかんないよ。
どうして…
どうして私は…泣いてるの?
もう、すべてが分からなくなってしまった。