きみのとなり
「あのね。拓海君がねー風邪引いちゃったみたいなのよ」
「………そう」
「冷たいわねー。その風邪未来のをうつされてからなのよ?結構経つけどいまいち良くならないらしくて、咳が止まらないらしいのよ」
困ったわねと、お母さんは顔に手を当てた。
「…待って。私の風邪、うつったの?拓ちゃんに?」
そんなの、知らなかった。
「あら、言わなかった?拓海君がお見舞い来てくれて、ずっと未来に付き添ってくれてたのよ?それでうつっちゃったのねー。熱はなくて咳が長引いてるみたいだけど、この寒さだから酷くならなければいいけど…」
そう言うとお母さんはキッチンへ行ってしまった。
「………」
だって、だって…
何も、拓ちゃん…何にも言わなかった。
昨日だって…
「……私には、関係ないよ」
私は自分に言い聞かせるように呟いた。