きみのとなり
私が梢を見て顔を歪めると
梢は
「どーした!?」
と言って私を抱きしめてくれた。
「こーずーえー!」
「よしよし。また石川先輩?」
梢には何でもお見通し。
「う゛ん゛」
私は半ベソをかいてなんとか返事をした。
「あのね、河野さんがぁ」
「はいはい。聞いてあげるから落ち着いて!」
「うぅ…」
私は梢に涙を拭ってもらって
朝の出来事を順を辿って、ゆっくりと話した。
のどを詰まらせる度に梢はうんうんって言って
背中をさすってくれた。
「すごくすごく嫌だったの。彼女は特別だって、何も言わないけど拓ちゃんがそう言っているようで…」
「うーん…石川先輩ってそういうとこ鈍感だからわざとではないと思うけど…」
「わかってるけどぉ」
「中学の時からそうだったし…それに、河野さんだっけ?そんな性格悪い人とは長く続かないよ。まだ付き合って2ヶ月でしょ?待ってみたら?」
「……」
梢はすごくいいこと言ってくれてる。
でも、私は拓ちゃんが他の女の子のことを想ってるってことが嫌で嫌でたまらないの。